リチャード・ギア主演の映画『HACHI 約束の犬』をパーソナリティー斉藤洋美が紹介。日本で愛され続けてきたあの実話「ハチ公物語」がハリウッドで映画化。
(C)Hachiko,LLC
〈ストーリー〉
アメリカ東海岸郊外、ベッドリッジ駅のホーム。
夜遅く出張から帰ってきた大学教授パーカー(リチャード・ギア)は、迷い犬になった秋田犬の子犬と出逢う。
遠い日本から送られたらしい子犬の受取人は現れず、パーカーはこの犬を飼うことにする。
首輪についていたタグに刻まれていた漢字から”ハチ”と名付けられた子犬は元気に成長し、やがて、誰に教わることもなく、毎朝駅までパーカーを見送り、夕方5時には迎えに行くようになった。
一人と一匹の仲睦まじい姿は、町の人々の心も和ませ、幸せな時を過ごすパーカーの傍らには、いつもハチの姿があった。
ところが、ある日突然、パーカーが倒れ、帰らぬ人となってしまう。
数日後、パーカー駅にはハチの姿が・・・笑顔のパーカーを待ちわびるハチの姿が・・・。
〈Hiromi’s Eye〉
日本で愛され続けてきたあの実話「ハチ公物語」がハリウッドで映画化されました。
どんな風に、ハリウッドで映画化されたのか、楽しみとちょっぴりの不安があったのですが、そこには「ハチ公」に対する愛が沢山溢れているではありませんか。
それもそのはず、日系アメリカ人3世のプロデューサー、ヴィッキー・シゲクニ・ウォンが、日本を訪れた際、ハチ公の話を聞いて感動し、この犬と人間の美しい絆の物語をハリウッドで映画化し、世界中に広めたいと考えたそうなんです。(愛犬にもハチコウと名前をつけたそう!)
そして、主演に、脚本を読んで赤ん坊のように泣いたという愛犬家のリチャード・ギアを迎え
(ギアは製作にも加わります)、監督には、ギア自ら、友人で愛犬家同士の「ショコラ」「サイダー・ハウスルール」でアカデミー賞にノミネートされたラッセ・ハルストレム監督を指名し、勿論快諾した監督のもと、「ハチ公物語」に新たな命が吹き込まれたのです。
この作品は、最近の映画にはあまりみかけない、シンプルなストーリーかもしれないけれど、そのシンプルなストーリーの中に、不安に満ちた今の世の中で忘れかけている、
信頼や無償の愛の温かさや美しさなど、大切なことを教えてもらえる作品になっています。
ハチ公の銅像がある21世紀の渋谷でもし今ハチ公がいたら、ご主人をどうやって待つのかな?
等といろいろ考えてしまったのですが・・・
時代が変わっても、そして、国や言葉が変わっても、人間は、信頼と愛をどれだけ求めているのかを実感します。
そして、求めるだけでなく、信頼して、無償の愛を捧げる大切さをハチ公の温かな眼差しが教えてくれるはずです。
〈みどころ〉
- なんといっても、ハチの仕草です。
子犬の時のあどけなさ、リチャード・ギア扮するパーカー先生の顔を自然にペロペロなめるシーンは、ほんとに、パーカー先生が好きでしょうがないという感じで・・・無邪気で・・・本当に可愛い。
そして、大人になってからのハチは、それぞれの年代によって、3匹の秋田犬が演じ分けています。
喜びや切なさをこんなにも表現できるの・・・!というくらい驚きの表情をします。
雨の日も雪の日も、待ちわびる切ない表情、眼差しには、本当に胸が締め付けられました。 - ラッセ・ハルストレム監督作品独特の、全体にセピア色がかったようなグレーがかったような色調が、ハチが待ち続けるベッドリッジ駅、そして、ベッドリッジ駅の周りの景色に、より温かみと切なさを醸し出しています。
〈お気に入り〉
- ハチから見える景色、パーカー先生の姿がモノクロで描かれています。
犬の目には色がほとんど分からないという観点から描かれていると思うのですが、それが・・・あるシーンでは・・・。 - リチャード・ギアが本当にステキ。
ハチがこれほどまでに待ち続ける人間には、きっと心の奥深くに何かがあるに違いない・・・
その計り知れない深い何かをもっている人だと感じさせてくれるリチャード・ギアです♪
原題:Hachiko: A Dog’s Story
監督:ラッセ・ハルストレム
脚本:スティーブン・P・リンゼイ
出演:
- リチャード・ギア
- ジョーン・アレン
- サラ・ローマー
- ジェイソン・アレクサンダー
音楽:ヤン・A・P・カチュマレク
製作年:2009年
製作国:アメリカ
日本公開:2009年8月8日
配給:松竹
上映時間:93分
▼予告編