原作は、ジョアンナ・ラコフの自叙伝「サリンジャーと過ごした日々」。サリンジャー担当のベテランエージェントと新人アシスタントの〈知られざる実話〉が描かれています。
ベテランエージェントのマーガ レットに扮するのは『アバター』『エイリアン』シガ ニー・ウィーバー。
新人アシスタント・ジョアンナに扮するのは、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の“プッシーキャット”役のマーガレット・クアリー。
その二人が出演している『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』をパーソナリティー斉藤洋美が紹介。
9232-2437 Quebec Inc – Parallel Films (Salinger) Dac (C) 2020 All rights reserved.
〈ストーリー〉
1995年のニューヨーク。作家を夢見るジョアンナ(マーガレット・クアリー)は、老舗出版エージェンシーで働くことになります。
この出版エージェンシーというのは、作家の代理人として作家が出版社等と対等に渡り合うために条件を交渉する業務などを行うところで、ジョアンナが勤めるのは1929年に設立された老舗。サリンジャーをはじめ、アガサ・クリスティ、 ウィリアム・フォークナー、F・スコット・フィッツジェラルドなど数々の文豪の作品の契約・著作権の管理などが行われています。
ジョアンナの仕事は、サリンジャー担当の女上司マーガレット(シガニー・ウィーバー)の編集アシスタント。日々の仕事は、世界中から毎日届くサリンジャーへの熱烈なファンレターを読んで、「サリンジャーはファンレターを読みませんので・・・」というような定型文を送り返すこと。
特に、ジョン・レノンの暗殺事件で犯人が「ライ麦畑でつかまえて」を読んでいたということもあり、ファンレターの扱いは慎重になったそう。
そのファンレターの送り主は、小説の主人公に自分を重ねる10代の若者、 戦争体験を打ち明ける退役軍人、作家志望の娘を亡くした 母親―などなど―心を揺さぶられるものが多く、その手紙を読むにつれ、ただの定型文を送り返すことに気が進まなくなったジョアンナは、自分の 思いを込めた手紙を返し始めてしまいます。
そんなある日、仕事中にジョアンナが電話を受けた相手は、あのサリンジャーではありませんか・・・。 実はジョアンナはサリンジャーの本を全く読んだことがなく、しかも偏屈、人嫌いという噂を耳にしていました。しかし、その電話の向こうから聞こえてくるサリンジャーの言葉は温かく、ジョアンナは偉大な作家の声を借りていくうちに、自分自身を見つめ直すことになります。友人や恋人との関係、夢にかける情熱、そして自分の将来につい て――。そして・・・。
〈Hiromi’s Eye〉
- リンジャーは映画の中で色々なエピソードとして現れます。でも、この作品は、サリンジャーさんを描きだそうというものではなく、ジョアンナの視点で、サリンジャーさんが描かれています。あくまでも、ジョアンナの物語です。サリンジャーさんの小説の世界観を、無数のファンレターを通して描かれているのも面白いです。
- 90年代は、伝達ルーツ、印刷、出版の世界が大きく変化した年。
- 3つのNY。90年代のブルックリン(再開発前のウィリアムズバーグ)、マンハッタンの街並み、NYの真ん中に位置するマディソンアベニューにある老舗出版エージェンシーは特にアールデコ調の建物と雰囲気が素敵。
- ジョアンナの特別な 場所として登場するウォルドーフ・アストリアはマンハッタンの老舗ホテ ル。この夢のようなホテルの廊下で「ムーン・リバー」が流れるシーンが 印象的です。
「ティファニーで朝食を」(1961)の主題曲によって、オードリー・ヘプバーンさんのホリー・ゴライトリーと、オードリーさんと同じくバレリーナ出身のマーガレット・クアリーさん演じるジョアンナが重なってきます。ニューヨークの新たなヒロインの誕生です。す。 - 90年代の衣装も素敵
原題:My Salinger Year
監督:フィリップ・ファラルドー
原作:ジョアンナ・ラコフ
脚本:フィリップ・ファラルドー
製作:リュック・デリー キム・マクロー
編集:メアリー・フィンレイ
音楽:マーティン・レオン
出演:
- マーガレット・クアリー
- シガニー・ウィーバー
- ダグラス・ブース
- サーナ・カーズレイク
- ブライアン・F・オバーン
- コルム・フィオール
- セオドア・ペレリン
- ヤニック・トゥルースデール
- ハムザ・ハック
- レニ・パーカー
- エレン・デビッド
- ロマーヌ・ドゥニ
- ティム・ポスト
- ギャビン・ドレア
- マット・ホランド
製作年:2020年
製作国:アイルランド・カナダ合作
配給:ビターズ・エンド
上映時間:101分
2022年5月6日(金)ロードショー
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▼予告編